酵母に振り回される

   
基本「お料理めんどくさーい」なたちです。ジャムとかピクルスとか保存食を作るのは好きですが、煮て漉して、こねて揚げて、フライパン使ってオーブン使ってという料理やお菓子とは無縁な生活をしています。そんな私ですが、めずらしくお料理の話です。昨日の昼食にそば粉でパンケーキを作ってみました。しばらくはまりそうです。


ホットケーキミックスに頼らずに、ベーキングパウダーでホットケーキを作ったこともあるのですが、いつもお好み焼きみたいねっとりで、ふんわりしたものになったためしがありません。それに比べると酵母を使ったパンケーキは偉いです。ふんわり感がたまりません。酵母種は、去年の11月にNHKの「きょうの料理」で放送していた島津睦子さんの、天然酵母パンの作り方を参考にしています。テキストは買っておらず記憶のみだし、酵母そのものはパン用のドライイーストなので、本当にいいかげんです。小麦粉に糖分(今回は蜂蜜)を加えたものにぬるま湯を加えて、ドライイーストを一振り。一晩、温かいところで寝かせておきます。翌朝にはぶつぶつと泡だっています。ボウルに入れたそば粉150gに、この種を大さじ2入れて(ここらあたりは杓子定規ではいかない。。。理由は後述)、ぬるま湯を加えてまぜ、コタツで数時間放置。嵩が増えているのを確認して、人肌にあたためた牛乳を入れて好みの堅さにして、フライパンで焼きます。うんと緩めるとクレープになります。フライパンの上ではぷつぷつと穴が空いて、ふんわりとふくらみました。この量でお玉6すくい分焼けました。焼けた端から積み重ねておきます。


実はイーストで発酵させたパンケーキをつくるのは二度目。一回目は加減がわからず、室内もけっこう温かかったので、イースト種が盛大に発酵し、容器から溢れるアクシデントが。また、出来上がったパンケーキはふわふわでしたが、イースト臭、アルコール臭がきつくて大変でした。なので、ドライイーストを前回の半分、そば粉に足すイースト種も前回の半分と大幅に減らしました。なのですが、やはり、アルコールがきつくて。酔っぱらいそうです。ビールで溶いたという感じ。


  
積み上げたパンケーキ(積み上げた状態で半分に切って夫とはんぶんこ)に、鶏のささみのソテーに棒ダラ(お正月用に戻した残り)とレンズ豆のトマト煮を添えてみました。ローラ・インガルス・ワイルダーの「長い冬」に出てくるアルマンゾの食事みたいでしょ。飲み物は当然熱いコーヒーです。物語では町全体が雪で孤立し、ローラの家族は、店売りのイーストや卵やバターや肉はとうに食べられなくなっています。保存していた豆もピクルスも底をつき、1月の初めに近所の人がつぶした牛を食べて(それだってブイヨンにして食い延ばしてるし)以来一月半、黒パンとジャガイモと紅茶とわずかな砂糖だけの食事。そんな生活の中で、皆がどうしようもなく無気力になったときに、母さんが塩づけのタラを出してくるという場面があります。家族に内緒に保存していた母さんの機転とこのタイミングで出してくる忍耐と決断に、母さんの強さを感じます。


今日もお昼ご飯はパンケーキ。そば粉に足すイースト種をさらに半分にしました。この時点で臭いを嗅ぐと、イーストの香りがわずかにします。今までのイースト臭っ!ではなく焼きたてのパンのようなやさしい感じ。自分の鼻を信じようというわけで、3時間ほどコタツで発酵。前回までは、ぶつぶつと気泡が出ていたのですが、今回はそれもなく全体にもったりという感じ。アルコール臭はほとんど気になりませんでいた。不安と期待でフライパンに流し込むと、ぷつぷつとホットケーキミックスを焼いた時のような穴が出てちゃんと膨らみました。やった。

パンケーキ種の中の酵母種の量は、最初に投入した酵母の量と、その後どれだけ増えてるかで、ものすごく違ってくるようです。条件がよいと2時間ほどで分裂というか出芽するそうです。つまり倍々と増えてゆくので、季節や、入れたお砂糖の量、酸素の量(酵母人口が高くなると不足しがち。こうなるとアルコールをつくっちゃう←過発酵というらしい。お酒ならいいけどパン関係ではNG)、酵母の元気さ、を確認しつつ調節しなきゃなのね。干しブドウとかリンゴとかの野生酵母でも、そのうち試してみようと思います。


   
今日はソーセージとブロッコリーを炒めたものに、リンゴ(お歳暮でもらったのですが、さすがに味がぼけてきたので)を白ワインで甘く煮たものを添えてみました。リンゴを煮たものは、アルマンゾが友人二人と町の人たちのために、遭難の危険をおかして、小麦を買いに行った先の開拓者の家の食事に出てきます。

周到に準備してこのメニューになった訳ではなく、お正月の残り物やお歳暮のなごりなのですが、なんとなく開拓者風の食事でした。


長い冬―ローラ物語〈1〉 (岩波少年文庫)

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