守り人シリーズ最終章

大海原に身を投じたチャグム皇子を探して欲しい―密かな依頼を受けバルサはかすかな手がかりを追ってチャグムを探す困難な旅へ乗り出していく。
刻一刻と迫るタルシュ帝国による侵略の波、ロタ王国の内側に潜む陰謀の影。
そして、ゆるやかに巡り来る異界ナユグの春。
懸命に探索を続けるバルサは、チャグムを見つけることが出来るのか...。
大河物語最終章三部作、いよいよ開幕。(帯より)

天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第1部〉ロタ王国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第2部〉カンバル王国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編 (新潮文庫)

読み終わっちゃいました。。。。
文庫落ちしてから読み始めたので、10年かけて読んだ訳ではないのですが、その間は不用意に書評を読んだりしないように気をつけていました。
読み落しがないように「精霊の守り人」から読み返して、ここ一月、電車の中ではどっぷり「守り人」三昧。読み終わって、昨日今日は、いろんな方の感想を読むのを楽しんでいます。

天と地の守り人」は、これまでのシリーズと違って、個々の登場人物が、バルサやチャグムでさえも時に存在が小さな点に見えてしまうのです。いずれ歴史となる国と国との大きな動きの中で物語が進むからでしょうか。その小さな点にすぎない人々が、その人らしくどう生きようとするか、そのそれぞれの選択が感動的でした。

小さな描写に、込められた作者の思いも深かったです。
子供が生まれたばかりの弟の身代わりとして、親族の思惑で戦場に送られてしまったタンダの留守宅が手入れされているところとか。ほぼ死ぬとわかってて、身内の中で一番身軽なタンダを行かせてしまうのだけれど、タンダのお兄さんのせめてもの思いが切なかったです。

上橋さんは「大きな物語として書き継ぐことは、多分、ないでしょう」と後書きで書かれていますが、アスラの言葉はもどっていないし、守り人シリーズの「蒼路の旅人」から登場するアラユタン・ヒュウゴは、主役はれそうなくらい魅力的だし、どうなんでしょう?

まだ、バルサの少女時代を描いた短編集「流れゆく者」とバルサとタンダのその後を描いた短編「春の光」が未読ですが、もう少し楽しみにとっておきます。