レディ・ジョーカー(文庫)

レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)

レディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)

 高村薫さんの作品は、ずうーっと前に「マークスの山」を読んで、今ひとつ入り込めなかったんですね。で、ずっと読まずに来たのですが、年末年始とどっぷり読みふけっていました。

レディ・ジョーカー』は、合田雄一郎シリーズの第3作目。『マークスの山』、『照柿』の続編です。なので、彼の個人的なあれこれは、前作から続いているのですが、本作で、彼個人の心情が定まります。というか認めます。

事件そのものは、社会的弱者、組織、個人、企業、政治、社会の闇、それらにまとわりつくお金と、大変複雑な流れになっています(グリコ・森永事件がモチーフになっています)。前半は犯人視点で計画がうまくいくかドキドキし、中盤は捜査の行方にやきもきし、後半は、事件すらエサにする得体の知れない勢力に、背筋が寒くなり。。。。
流して読むと、読み落とすのは確実なので、じっくりじっくり読んだのですが、次はどうなるのか本当にページをめくるのがもどかしかったです。

今は『照柿』を読んでいます。
実は『レディ・ジョーカー』→『照柿』の順に発表されたのかと勘違いしていて。でも、一作一作の独立度が高いので、いいのです。