ジェイン・オースティンの手紙

最近はまってしまったジェイン・オースティン。最初に読んだ「自負と偏見」(新潮文庫)は、中野好夫さんの訳だったのですが、言い回しがとても古風。なにせ男性の手紙文が「候文」ですから。でも、そこがなんだか時代がかっておもしろかったです。次は、引き続き「高慢と偏見」をちくま文庫(中野康司訳)、河出文庫阿部知二訳)と読み比べをしようか、ちくま文庫「エマ」を読もうか、決めかねています。


ジェイン・オースティンの手紙 (岩波文庫)

ジェイン・オースティンの手紙 (岩波文庫)

で、結局は「ジェイン・オースティンの手紙」(岩波文庫 新井潤美訳)を読みました。書簡集なので、物語があるわけではなく、人物の名前もぽんぽん出てきて、注釈があっても、わかりにくい部分がおおいのですが、当時の手紙は、特定の個人の間でやりとりされるものではなく、周りの親しい人に親族の近況やおしゃれの情報を読んで聞かせるニュースのようなものだったそうなので、私も楽しく読めました。

舞踏会とちょっと辛辣に人を観察することに夢中な二十代、家事に心を砕きながらも着々と作家としての地位を固めていった三十代、徐々に健康を害しながらも甥や姪の成長を見守り、自分の死期をさとっていった四十代へと、すこしづつ変わってゆく手紙の内容に惹き込まれます。