講演会を聴いてきました

先週の土曜日に福岡市美術館学芸員岩永悦子さんのカンボジアの染織についての講演を聴いてきました。東南アジアのシルクといえばタイシルクが浮かびますが、12世紀頃はカンボジア王国インドシナ半島の大部分を占めていて、現代に伝わるこの地域の染織の起源にも大きな役割をはたしているそうです。カンボジアの伝統染織には絹紋織りや木綿などもありますが、今回は緯(よこいと)絣の技法を用いた絹織物についてのお話が中心でした。


以下覚え書き
緯(よこいと)絣の絹織物には大きく二つに分けられる。ピダンと呼ばれる絵絣と、サンポット・ホ−ルと呼ばれる腰布である。ピダンは壁に掛ける物で、寺を中心に天女や象、ナ−ガ(蛇)など、宗教的意味合いを持たせたモチ−フが多い。古い物の中には、全く繰り返しの無い柄により構成された布もあり、カンボジアを代表する絣といえる。一方、サンポットはクメ−ル語でスカ−トのことを指し、ホ−ルは絣を意味し、宮廷などでの衣装に用いられた。

  • 蚕糸は、黄色い繭をはく熱帯産の蚕(カンボウジュ種)から作られる。
  • 染料は、、赤はラック貝殻虫の巣、黄色は沖縄の福木に似たブローフーと呼ばれる木の表皮。藍(種類は聞きそびれた)。など
  • 染色液に浸けた後、たらいに糸束をたたきつけるようにして、染料を浸透させる。
  • 括りは芭蕉の繊維。重ね染めにより、緯(よこいと)に模様の元となる染めを施す。
  • 3枚(糸)綜絖。経は単色の複数の色を太い縞になるように3000本。
  • 経1緯2の綾織り。これにより、染め分けた緯糸の面積が増え、文様が鮮やかに浮かび出る効果がある。ただし、布に表裏が生じる。
  • 機や糸巻きなど、道具にも宗教的な彫刻が施されている。
  • ビダンの布幅は約90cm、長さは5mにもなるものもある。従って機も横幅が大きい。
  • ポル・ポトクメール・ルージュ)政権下で、一度技術は断絶している(現在復興の努力がされている)。
  • 16世紀まで現在の中部ベトナムに栄えたチャンパ王国の末裔であるチャム人が、伝統的な緯(よこいと)絣を担ってきた主な人々である。


連休中に、このカンボジアの布についての講演と展示・販売が福岡と京都でひらかれることを今日知りました。お札を握りしめていく(^^)予定にしているのですが、なにせ、手で糸をとり、手染め、手織りの布です、手が出ないかもしれません。せめて、美しい写真のカレンダーは手に入れたいです。

くわしくは、こちらクメール伝統織物研究所のHP(日本語)です。