ジェイン・オースティンのエマ

今日の日記を書く前に、基本的な内容を確認しようと「エマ」で検索したらマンガばかり出てきてびっくり。内容は19世紀末イギリスを舞台にした青年とメイドとの階級を超えた恋物語みたいです。ジェイン・オースティンのエマとはまったく違うお話です。それはさておき、やっぱりオースティンは面白いです。結婚なんてしないと言い切る彼女は自分の恋に気づいていなかった。そしてその愛する人は実はずっと彼女の身近にいた。という恋愛小説の王道をゆくお話、そしてラブ・コメディー。クスッと笑えるところが、あちこちに。1816年の作品なので、みなさん馬車か馬か徒歩で移動していますし、鼻持ちならない階級意識とか、優雅なイチゴ狩りパーティーとか、全く現在とは異なる生活なのですが、誰と誰が結婚しそうだの、だれそれさんの新しい奥さんは美人らしいとか、要は日常生活のごく普通のあれこれなだけなのに、ぐんぐん読ませてくれます。


エマ (上) (ちくま文庫)

エマ (上) (ちくま文庫)

エマ (下) (ちくま文庫)

エマ (下) (ちくま文庫)

ヒロインは自分に都合のいい目線で人の感情を判断して、その人たちに縁結びを働きかけてしまいます。なまじっか魅力も影響力もある人物なので、周りをとことんひっかきまわしてしまいます。ただ、自分の間違いに気づくと言い訳せずに反省するのが「いい子だなあ」と思わせます。

ラブ・コメディーのお砂糖で包んでいるけれど、「あなたは彼女を笑ってるけれど、ほんとに彼女を笑えるの?」というオースティンのちょっと意地悪な声も聞こえてきそうな小説でした。