方円彩糸花網

唐招提寺に蔵されている国宝です。仏舎利を入れたガラス容器を包んでいたものだと考えられています。鑑真和上が唐から754年に持参されたものらしいです。見た目はレースのドイリーそのものです。


絹の東伝―衣料の源流と変遷 (小学館ライブラリー)

絹の東伝―衣料の源流と変遷 (小学館ライブラリー)

「絹の東伝」を読んでいて、伝世品として世界最古のレース(8世紀の中国製?)と書いてあったのですが、写真が小さく白黒だったので、どんなレースか詳しくはわかりませんでした。けれど、かなりかっちり編んであるようすは写真からも見て取れて気になっていました。また、6種類の色糸を組み合わせているそうなので、カラー写真がネット上にないかとさがしたら、以下見つかりました。
こちら
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で、さらに、このレースは日本女子大学(学長さんは「女性の品格」の方ですよね^^)の研究者の方々が復元されていて、大学紀要に論文も出ていることがわかりました。最近のものはPDFでダウンロードできるようになっていたのですが、私が見たかった學苑726号(2000年)は、対象外でした。あるのに見れないというのはとてもストレスです。こういうところムキになってしまう私は、所蔵検索をして九州大学の図書館で見つけ、書庫に入ってコピーしてきました(身分証明書を見せると誰でも入れます)。


思った以上に詳細な研究報告で、使った植物染料や編み方についても詳細に図入りで説明が。このレースは縫い針一本で形作る「ニードル・レース」でした。ただ、今のニードルレースの技法よりずっと素朴で、北欧での手袋や牛乳の漉し袋などに見られる古い技法の「ニードル・ルーピング」という技法を使った、日本ではアケビの蔓で編んだカゴ網などに見られる編み方だそうです。なんだか、スッキリしました。

あっ、この論文の引用文献の欄になんとボビンレースとタティングレースで有名な福山(聖光院)有彩さんのお名前が。