工字形器具を持つ人

今日、図書室で「日本技術の社会史第三巻、紡織」(日本評論社)という難しそうな学術書を発見。で、引き付けられるようにページを開くと、日本でも弥生時代の遺跡からスピンドルの実物(絹、麻用)が出土し、ホイールは金属、木、碧玉!(これは祭祀用かもしれないとのこと)などの種類があり、先端にフックがあるのと先端がとがっているタイプがある。先端がとがっているタイプはサポートスピンドルの方式でつむいでいたのでは?とか、金属のスピンドル室町時代頃まで出土するとか、興味深い記事が図入りで載っていました。そして「かせとり棒」も遺跡から出土しているのだそうです。「裃」を木偏にかえた字(かせと読む)をあてるそうです。絵はもうそのまんまアナンダさんで見かけたニッディーノッディーでした。さらに、さらに、神戸で育った方なら一度は教科書やら大倉山の図書館の入り口などで目にしたことがある銅鐸(兵庫県神戸市灘区桜ヶ丘出土 弥生時代 神戸市立博物館)に描かれている「工字形器具をもつ人物」がもっているのは「かせ」であるという説があるのだそうです。



こんな感じです。以下小難しい話が続くので、絵はちょっとおちゃらけてみました。小学生の時、この絵でぱらぱら漫画を描くのが流行ったのでした。実際は、上下の棒が入れ違いになるのですが、絵に描くとこうなるでしょうねえ。


この銅鐸には狩猟の様子、漁の様子、脱穀の様子、蛙、蜘蛛、カマキリ、鶴、亀といった動物の絵が記されています。弓だとか臼と杵なんかは、はっきりそれとわかるのですが、この工字形器具は、よくわからなくて漁に使う道具という説もあるのだそうです。工字形器具=かせ説は、布目順郎(京都工芸繊維大学名誉教授)さんが発表されたもの。絹の東伝―衣料の源流と変遷 (小学館ライブラリー)(小学館文庫)などで述べられているそうなので、読んでみようかな。

私がスピンドルにひかれるのは、数千年以上前の人の道具と同じ道具を使うっていうところにあるようです。