銀の枝

銀の枝 (岩波少年文庫)

銀の枝 (岩波少年文庫)


やっとこさ読了。時代背景になじみがなかったことと、物語後半けっこう重要な意味を持つ登場人物の前半での登場場面がさりげなさすぎて、「この人だれだっけ?」と思うこと多数。あと名前がウルバヌスだのフラビウスだのカロウシウスだの、「うす、うす」とみんな一緒に思えて覚えられません。そんなわけで、中盤までが大変読みにくかったのですが、そのあと物語が走り出すと夢中になりました。


ジャスティンは、−中略− 何かが落ちてきて、彼のそばに着地したのに気づいた。それはパンダラスが一時間かそこら前に、神殿で摘んだ赤いバラだった」

いろんな意味で「狭間」にいる男たちの物語です。生と死、信頼と裏切り、繁栄と衰退。どちらに転ぶかわからない日々を駈けて抜けてゆく人々。けれど、自然は変わりなく季節はめぐってゆきます。そんな自分たちをとりまく自然の静寂にふと気づき思いをめぐらす主人公たち。すべてのものを破壊するように見える世界の中でも、変わらないものはあり、ヒトは癒し、創造し、再びつなぎ合わせることができるはずと。