入院十二日目

いよいよカテーテル・アブレーション当日
 カテーテル・アブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)とは、まず頻脈発作をわざと誘発し、不整脈のきっかけとなる異常な電気信号を生じている場所を探す検査を行い、引き続き、アブレーション治療用のカテーテルを太ももの付け根(他の部分の場合もあります。)から血管を通じて心臓に挿入し、カテーテル先端から高周波電流を流して焼灼することで、不整脈を根治する施術のことです。
10時から、検査のための点滴が始まることになりました。夫に、その旨連絡すると11時過ぎに病院到着予定と返事がありました。
 今日の検査が、終わったら、明日には退院できるようで、いろいろと、慌ただしくなってきました。そうはいっても、私自身は待つしか無く、ケイトモートンの「リヴァトン館」を読了しました。先生は、カテーテルをいれる検査とおしゃっていたし、カテーテルも三度目ともなれば、慣れたとはとてもいえませんが、淡々と迎えるという感じでした。点滴をしているので、車いすで、前回と同じ検査室へ。今回は髪も結わえて準備万端です。夫に見送られて入室。
 が、検査室に入ったとたん前回2回とはちがって人が多い!しかもスーツの方が、4人程度いらっしゃいます。人と大きな液晶モニター、モニターのついた装置などで、広い部屋もぎっしりです。スーツの方は、カテーテル・アブレーションの電極を扱う技師の方達のようでした。医療スタッフの方は、T先生とK先生、看護師の方が3人ほどと私の頭のところになんと私担当の看護師さん(男性でした)が付かれました。何かあったら知らせて下さいねそばにずっといますからとのこと。
 足踏み台を使って自分で診察台に登ります。背中と胸に何カ所か大きな金属板をペタッと貼られ、横になり、前回同様胸の位置にエックス線装置?と保護版が降りてきました。施術の流れとしては、カテーテルを両足のつけねから複数本いれ、頻拍を起こす薬を注入。異常な電気信号を生じている場所を探し、位置が決まればその場所の心筋を熱で変成させ終了です。まずはK先生が右足から、T先生がそのあと左足から電極のついたカテーテルをいれてゆきます。局所麻酔をかけているし、挿入時に少し違和感があり、のどのあたりがぐっとする感じはありましたが、カテーテル自体は苦しくはありません。ただ、動かないよう指示されていたので、精神には余裕がなく体中に力が入っていました。「ドキドキする薬を入れます」とT先生が言われ、しばらくすると本当に心臓がドキドキしました。なんどかそれを繰り返して、異常な電気信号を生じている場所が特定できたようでした。私の位置からもモニターが見え、心臓にカテーテルが入っているエックス線画像が見えます。それ以外に、心拍数や心電図、電極の電圧?なのかいろいろな画面に分割されています。エックス線画像の他3D画像化された私の心臓も映し出されています。
 アブレーション用のカテーテルの先は電極なのか丸いこぶこぶが5、6個ついているのが見えました。こんなのが血管に入っているのにその感覚はありません。いよいよ焼灼が始まるようで、T先生から「熱かったり痛かったり我慢できなかったら言って下さい」と声がかかりました。ぐぐーと喉の奥が詰まる感じで、確かに心臓のあたりが熱く感じます。スーツの方が、少しづつ大きくなる数値を読み上げて行きます。「我慢できますか?」「はい」時間は10秒程度だったでしょうか。「はい!終了です。」
 その瞬間、検査室の緊張も弛み、カテーテルを抜く準備に入ったようで、私も汗がじんわり出ていたのですがふうっと力が抜けました。いきなりT先生が、「退院後の通院はうちでもいいですけれど職場に近そうなのでQ大病院にしますか?」と質問されました。えっ、今聞かれてもと動揺しつつ、いやいやいやここがいいんですけど、どう伝えたらいいのか焦ってしまい、K先生とT先生がいらっしゃるこの病院がいいですと言いたかったのですが「T先生がいいです」と口走ってしまい、いやいやいや、これではずっと診察いただいてくれているK先生をないがしろにしているかもと、ますます焦っているうちに言い直す機会を失してしまいました。T先生は「光栄です。うちもいい病院ですからね」とおしゃってくださいました。K先生に視線を向けて、本当はK先生のお名前を先に言いたかったんですと必死に訴えたのですが、通じていたでしょうか。
 カテーテルを抜く際は、動脈なので、再び先生方も圧迫止血に集中されていました。T先生とK先生では、圧迫止血の力の強さが全然違って、T先生の方が強く痛いほどです。後日、内出血の跡の程度がT先生が止血してくださった左足の方が軽かったのは、経験の差かもしれません。医師とはいっても人間の体を押さえつけたりなどは抵抗があると思います。K先生が抜いたカテーテルを載せたバットを持って、そばを通られたので、バットの中に視線をやると、血まみれの管が見えました。そんな私を見て、K先生はちょっと微妙な表情をされました。すみません、こういう性格なんです。
 検査はちょうど1時間くらいで終わりました。「だんなさーん、終わりました」と看護師さんが廊下に声をかけて下さっています。「あれ、あのまま帰ったはずだけど?」と、思ったのですが、看護師さんは待機していると思ってられたようで、電話で確認してくださったようです。

 感想:カテーテル・アブレーションは検査ではなく手術だなと思いました。

先生はどうして検査とずっとおしゃっていたのか今も謎です。実際、退院時に病院からいただいた請求書には手術とかかれていました。

 病室に戻ってからは、さすがに疲れでぐったりとしてしまい、止血のため動きも制限されていたので、うとうとしながらすごしました。夕食も体を30度以上起こせないので、食が進まずにいたら、ご飯をふりかけおにぎりにして下さいました。明日は、午前中、足の具合を確認して、午後、運動検査、退院と言う流れのようです。後日、九大病院で検査入院が必要なのと(これはある難病の可能性をシロと判定するのが目的)、ごく初期の心筋症の可能性もゼロではないので、外来での通院と服薬で経過観察していきます。問題無ければ、薬が減ってゆきますとのことでした。

!!!な金額
 夕方、事務の方が来られて、仮清算された金額を知らせて下さいました。!!!な金額でした。3割負担でこれなので実費だったらと思うと日本の保険制度に感謝です。限度額適用認定証はまだ届いていないようなので、!!!な金額が明日必要なことを夫に連絡。午後は来れるとのことなので、迎えに来てもらうことにしました。