コーデリアとフィデルマ

コーデリア・グレイは茶髪で猫を思わせる容貌の22歳。
速記とタイプのスキルをもち職業斡旋所で仕事を探そうとするところから、以前読んだケイト モートンの「 リヴァトン館」の時代(1920年代)と同じ頃かと 思ったのですが、どうも1960年代?車が一般的で、タイプがあって、ラジオも電話もあるけど、テレビは一人暮らしの部屋にはまだな感じ。原作が1972年発行なので、ミステリーだしコンテンポラリーなのでしょうか。

作者のP.D.ジェイムスはミステリー界では有名な作家さんらしいのですが、私は「高慢と偏見、そして殺人」で初めて読みました。こちらはジェーン・オースティンの『高慢と偏見』をリスペクトしたものですし、正直、そうでなかったらさほど惹かれない部分もあります。

でも、この作品はとてもよかったです。
明るさからは少し離れているかもしれにないけれど、おしゃれで前向きなコーデリアが素敵です。

今はダルグリッシュ警視長シリーズの中の「神学校の死」を単独で読んでいるのですが、同じヒロインが出てくる『皮膚の下の頭蓋骨』も読もうっと。


翳深き谷 上 (創元推理文庫)

翳深き谷 上 (創元推理文庫)


翳深き谷 下 (創元推理文庫)

翳深き谷 下 (創元推理文庫)

キャセルのフィデルマはすらりとした長身で、瞳の色は灰色がかった緑。被り物の下から赤い髪が一房はみ出している。
フィデルマもそろそろ三十路?
若いのに生意気!と感じていた立ち居振る舞いが、相応の威厳を与えているという感じです。言葉でははっきり言っていてもしぐさがつつましく落ち着いているからなのでしょうか。
オーラにコーラ、ムルガル、ラドガルと似たような登場人物の名前には悩まされつつも、七世紀のアイルランド世界に慣れて来たのか、世界観もつかめて大変おもしろく読めました。

作中のグレン・ゲイシュどうやらここみたいです。Killarney, Ireland
今も美しいところのようです。
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