イギリスとモロッコの刺繍

海賊と刺繍女 (集英社文庫)

海賊と刺繍女 (集英社文庫)

古書と刺繍に、17世紀の英国コーンウォールとアフリカ大陸モロッコと現在が交錯しながら進む物語いうことで、読んでみました。

ちょっとヒロインたちに都合よすぎ?という部分が多かったのと、近い時代を扱ったアリソン・アトリーの「時の旅人」ような余韻とか、刺繍の腕が道を開いてゆくという点が似ているグロリア・ウィーランの「家なき鳥」のようなすがすがしさはなかったのですが、大変面白く読めました。ロマンス小説な味付けがばっちりなのと、あまりにもあんまりなスピリチュアルな最後の場面には、ちょっとかゆくなったりもしましたが。

うーん、結局褒めていないのかな?

主人公のキャサリンは、刺繍という仕事に真摯に向き合っている女の子。それゆえにイギリスでの生活に望みがないこともわかっていて、だから町が襲われて白人奴隷(こんな歴史があることは全く知りませんでした)として売られて行った異国の地であっても、そういう選択をしたのでしょうが、ロバートの立場は。。。。人間としての残酷さもたっぷりでてきます。

キャサリンのハリエニシダクレマチスの蔓の刺繍の描写や、カスバ・アンダルスの水路や噴水があり、蔓薔薇が咲くエキゾチックなお屋敷の描写など、波瀾万丈の物語と相まって、映像でみてみたいと思いました。