- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
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カズオ・イシグロの「日の名残り」を読みました。初イシグロです。旧家の執事が、お屋敷の新しいアメリカ人のご主人の計らいで、お屋敷を退職した女中頭を訪ねる旅に出ます。美しい景色の中をドライブしながら、執事は、「偉大な執事とは何か」を考察しながら、第二次世界大戦前夜の時代を回想します。執事は結局執事の視点を超えることはできず、物語は静かで、せつなくて、残酷です。けれど、人生の日はまだ暮れてはいない。
現在と過去、国を動かしていた(してしまった)人と、その人たちの傍らで時代の動きを見とどけようとした(見ていただけの)人、主人の人生と自分の人生、ジョークとユーモアなど、層になった小説の構造がうまいなあと感じました。
他の作品も読んでみようと思います。