説得

説得 (ちくま文庫)

説得 (ちくま文庫)


ジェイン・オースティンが1817年に42才でなくなる1年前に完成させた長編小説です。ジェイン・オースティンの作品は、


と読んだのですが、「自負と偏見」の次にお気に入りになりそうです。これからもきっと読み返すと思います。

訳あって別れた婚約者と8年ぶりに再会した27才のアン。「自負と偏見」や「エマ」と比べると、キラキラしたところは無いのですが、ヒロインのアンの人生への諦観と、再会したウェントワース大佐への消えない思いの間で揺れる心が、押さえた文章からしみじみと伝わってきます。ページを繰るのがもどかしいと思うほど本に夢中になることが年齢とともに少なくなって、寂しい気持ちがあったのですが、ヒロインの心の迷いに歩調を合わせてゆきつもどりつ読むというのも読書の幸せだと感じています。

*1:日記では別の本を紹介していますが、その本カサンドラの城はビクトリア時代の女性作家たちへのオマージュでもあるので、そのつながりで触れています。